<厚生労働省の公表>
厚生労働省は、監督指導による賃金不払残業の是正結果のデータとともに、賃金不払残業の解消のための取組事例を公表しています(平成31年度・令和元年度)。
無作為抽出によって行われた立入調査の事例が1件と、労基署への情報提供によって行われた立入調査の事例が3件示されています。
無作為抽出による立入調査は、特定の業種や重点項目など目的をもって行われるものですから、その企業に監督が入るのは偶然性が高いものです。
これに対して、労基署に情報が入ったために行われる立入調査は、情報の真否を含め実態を確認し、是正を求める目的ですから偶然ではありません。
情報源としては、従業員が疑われやすいのですが、実際には、退職者、取引先、ライバル企業など広い範囲に渡っています。
<タイムカード打刻後の労働>
賃金不払残業の防止を目的として、労基署が立入調査を実施しました。
検査部門の労働者に対し、所定終業時刻にタイムカードを打刻させた後、部品の検査を行わせており、検査した個数に応じて「手当」を支払っていたが、作業に要した時間を確認した結果、賃金不払残業の疑いが認められたため、実態調査を行うよう指導しました。
タイムカードを打刻させた後で働かせているので、終業時刻の正しい把握・記録ができていません。
社内独自のルールで、残業代に代えて「手当」を支給しているので、正しい時間外割増賃金が計算・支給されていません。
“サービス残業(賃金不払残業)の公表事例” の続きを読む →