カテゴリー: 給与計算

定額(固定)残業代の適正な運用

定額(固定)残業代の適正な運用

<定額(固定)残業代>

定額(固定)残業代は、1か月の残業代を定額で支給するものです。

基本給に含めて支給する方式と、基本給とは別に定額残業手当として支給する方式があります。

残業時間を減らしても給与が減らないので、長時間労働の抑制になります。

この点では、働き方改革の趣旨に沿った制度です。

会社にとっても、人件費が安定するので人件費の予算や計画が立てやすくなります。

<適法な導入と運用>

かつては違法な運用が横行していたために、定額(固定)残業代そのものが悪であるかのように言われていました。

しかし、適法に運用する会社が増えてきており、必ずしも悪いものとは見られなくなりました。

適法な導入と運用の概要は次のとおりです。

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シフト制と休業手当

シフト制と休業手当

<シフトゼロなら休業ゼロか>

パートやアルバイトで、シフト制で勤務している労働者は、たとえば来月1か月は店舗が休業という場合、全くシフトに入らないことになります。

この場合、そもそも出勤予定日が無いのだから、1日も出勤しない状態であっても、休業は発生せず、したがって休業手当は不要であり、雇用調整助成金の対象にもならないという解釈があります。

実際、この解釈によって、大企業を含む多くの企業がシフト制の労働者に休業手当を支払わず、雇用調整助成金の手続も行わないという事実があって、この問題をマスコミが採り上げています。

<休業とは>

休業とは、労働者による労務提供が行われない場合のうち、労働者が労働契約に従って労働の用意をなし、労働の意思を持っているにもかかわらず、その給付の実現が拒否され、または不可能となった場合をいいます。

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短期退職手当等の退職所得金額の計算方法の改正 

短期退職手当等の退職所得金額の計算方法の改正 

<計算方法の改正>

令和4(2022)年1月1日、役員等以外で勤続年数5年以下の者に対する退職手当等(短期退職手当等)の退職所得金額の計算方法が改正されます。

【現 行】

退職所得金額=(退職手当等の収入金額-退職所得控除額)×1/2

退職所得金額は、その年中に支払を受ける退職手当等の収入金額から、その人の勤続年数に応じて計算した退職所得控除額を控除した残額の2分の1に相当する金額とされています。

ただし、役員等勤続年数が5年以下である人が、その役員等勤続年数に対応する退職手当等として支払を受ける特定役員退職手当等については、この「2分の1課税」を適用しないこととされています。

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将来の老齢年金受給額を増やしたい社員 

将来の老齢年金受給額を増やしたい社員 

<従業員の心理>

給与明細書を見て「社会保険料が高い」と嘆いていた社員も、老齢年金の受給開始年齢が近づくと自分の受給予定額を知ることになり、「思ったよりも少ない」という感想を抱くことが多いものです。

さらに、将来の年金額を増やしたいと考える従業員も少なくありません。

このニーズに応える方法としては、次のようなものがあります。

<繰り下げ>

特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分)を受給できる人を除き、老齢年金の受給開始年齢は原則として65歳です。

この受給開始時期を66歳以降に遅らせることによって、老齢年金の受給額を増やすことができます。

この場合、年金受給開始年齢は上がるわけです。

しかし紛らわしいことに、年金の「繰り下げ」と呼んでいます。

老齢年金の受給額は、繰り下げ1か月につき0.7%の増額となります。

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精皆勤手当廃止の動き

精皆勤手当廃止の動き

<精皆勤手当の趣旨・目的>

精勤手当・皆勤手当は、1か月の給与支給対象期間の出勤予定日に欠勤しないことについて、給与の一部として支給される手当です。

1か月の欠勤が1日か2日の場合にも、減額され支給される場合があります。

なお、年次有給休暇の取得をもって欠勤とする扱いは、不利益な扱いとなり労働基準法に反します。〔労働基準法第136条〕

自動車運輸業では、ドライバーが欠勤した場合に代替要員の補充が困難なため、精皆勤手当を支給して欠勤しないことを奨励することが広く行われます。

建設業でも、工期の遅れを避けるため、精皆勤手当を支給して欠勤しないことを奨励することが広く行われます。

他にも、飲食業や製造業などで精皆勤手当を支給する企業は多く存在します。

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給与支給日の繰り下げ

給与支給日の繰り下げ

<祝日の移動>

令和3(2021)年のカレンダーの大半は、前年の11月に作成され祝日が誤ったまま出荷されています。

祝日の変更が、令和2(2020)年11月27日の臨時国会で決定され、令和3(2021)年に限り、海の日が東京五輪の開会式前日に当たる7月22日に、スポーツの日が開会式当日の7月23日に、山の日が閉会式当日の8月8日に移動したためです。

この影響で、8月9日が振替休日となり、例年の海の日(7月第3月曜日)、スポーツの日(10月第2月曜日)、山の日(8月11日)が平日になりました。

祝日移動の目的は、新型コロナウイルス感染拡大を踏まえ、東京五輪開催に伴う交通混雑の緩和にあります。

<給与支給日への影響>

たとえば、令和3(2021)年7月20日は火曜日ですが、木曜日の22日が海の日、金曜日の23日がスポーツの日ですから、22日から25日までが連休です。

毎月20日締切、当月25日支払としている企業で、就業規則が「支払日が休日に当たる場合は、その前日に繰り上げて支払う」と規定していれば、給与支給日は締日の翌日の7月21日ということになります。

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自己都合の転居と通勤手当の増額

自己都合の転居と通勤手当の増額

<新型コロナウイルス感染症拡大の影響>

コロナの影響で、感染者の多い地域から少ない地域へ転居する動きが見られました。

ほとんどの場合、会社からの指示ではなく自己都合での転居です。

また、在宅勤務が定着してくると、会社の近くにある家賃の高い物件に住むよりは、会社から離れた家賃の安い物件に住むことを考える従業員も増えてきます。

こうした場合、自己都合で転居した従業員の通勤手当が、大幅に増額されることは防げないのでしょうか。

<就業規則の規定>

通勤手当をどのように支給するかは、労働基準法などに規定がありません。

就業規則にどう定めるかは、基本的に各企業の自由です。

「実費を支給する」というだけの規定であれば、従業員が自己都合で転居した場合でも、通勤手当が実費を基準に支給されることになり、大幅に増額されることがあるでしょう。

「月額7万円を上限として」というように、通勤手当の上限額が規定されているのであれば、これを上回る費用は個人負担となります。

「ただし、自己都合で転居したことにより通勤の費用が増加した場合には、その増加分は従業員の負担とする」という規定であれば、元の住居を基準とした通勤手当の支給となります。

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健康保険・厚生年金保険料の標準報酬月額の特例改定

健康保険・厚生年金保険料の標準報酬月額の特例改定

<標準報酬月額の特例措置>

新型コロナウイルス感染症の影響による休業に伴い報酬が急減した人のため、健康保険・厚生年金保険料の標準報酬月額の特例措置がとられています。

この特例措置は、一定の条件を満たす人に限定されています。

また、報酬が著しく下がった期間によって、特例の内容が異なっています。

<対象者の条件>

令和2(2020)年8月から12月までの間に、新たに休業により報酬が著しく下がった人と、4月または5月に休業により著しく報酬が下がり特例改定を受けている人とでは、条件が異なっています。

それぞれ、下記に掲げる条件のすべてを満たした人が対象となります。

令和2(2020)年8月から12月までの間に新たに休業により報酬が著しく下がった人

・新型コロナウイルス感染症の影響による休業があったことにより、令和2年8月から12月までの間に、報酬が著しく下がった月が生じたこと ・著しく報酬が下がった月に支払われた報酬の総額(1か月分)が、既に設定されている標準報酬月額に比べて2等級以上下がったこと ・特例措置による改定内容に本人が書面により同意していること

ただし、休業のあった月とその前2か月のいずれか1月でも支払基礎日数が17日未満(特定適用事業所等の短時間労働者は11日未満)の場合、対象とはなりません。

4月または5月に休業により著しく報酬が下がり特例改定を受けている人

・新型コロナウイルス感染症の影響による休業があったことにより、令和2年4月または5月に報酬が著しく下がり、5月または6月に特例改定を受けたこと ・8月に支払われた報酬の総額(1か月分)が、9月の定時決定で決定された標準報酬月額に比べて2等級以上下がったこと ・特例措置による改定内容に本人が書面により同意していること

この特例は、次のすべてに該当する方を対象としています。

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最低賃金の7つの落とし穴

最低賃金の7つの落とし穴

<上昇傾向の最低賃金>

最低賃金の第1の落とし穴は、急速な上昇傾向にあります。

【過去10年間の最低賃金の上昇率】

 2010年改定2020年改定上昇率
全国平均730円902円23.6%
東京都821円1,013円23.4%

最低賃金を上昇させる狙いには、少子化対策もあります。

2020年度は、新型コロナウイルスによる企業への影響などを踏まえ、東京都などでは前年の金額のまま据え置かれ、全国平均で1円の上昇に留まりました。

しかし長期的には、中小企業で働く若者が、安心して結婚し子供を育てるのに十分な賃金を得られる水準になるまで、急速な上昇傾向が続くものと思われます。

<改定時期>

最低賃金の第2の落とし穴は、10月に改定されることです。

多くの企業では、毎年4月に賃金改定が行われています。

この賃金改定の時点では、社内に最低賃金を下回る従業員がいなくても、10月になると最低賃金の上昇により、最低賃金法違反が発生しうるということです。

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基礎控除と所得金額調整控除に関する改正(令和2年度年末調整)

基礎控除と所得金額調整控除に関する改正(令和2年度年末調整)

<基礎控除の改正>

令和2年分については、下の表の旧基礎控除額から新基礎控除額へと改正されます。

合計所得金額が2,400万円以下の所得者については、基礎控除額が10万円増額されます。

一方で、合計所得金額が2,400万円台の所得者については減額され、2,500万円を超える所得者については、所得控除の適用を受けることができません。

【基礎控除額】

合計所得金額新基礎控除額旧基礎控除額
2,400万円以下48万円38万円 (所得制限なし)
2,400万円超 2,450万円以下32万円
2,450万円超 2,500万円以下16万円
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