<年金関係法令の規定>
事実婚(内縁)と年金について、次のような規定があります。
この法律において、「配偶者」、「夫」および「妻」には、婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含むものとする。〔国民年金法第5条第7項、厚生年金保険法第3条第2項〕 |
つまり事実上夫婦であれば、国民年金・厚生年金のどちらでも、夫婦と同様に扱われるということです。
<事実婚(内縁)>
事実上の夫婦と認められるためには、婚姻届を出していないだけで、この他の実態は夫婦であるという事情が必要です。
まず形式的に、婚姻届を出そうと思えば出せること、つまり原則として、事実上の夫婦のどちらにも戸籍上の配偶者がいないことが必要です。
法律上の正式な配偶者がいれば、重ねて結婚することはできないからです。
また実質的に、お互いに結婚する意思をもって、夫婦としての共同生活を営み、生計を同じくしているという事実が必要です。
<実際の手続>
事実上の夫婦は、法律上の夫婦とは異なり、住民票の写しなどで夫婦であることは確認できません。
それぞれに法律上の配偶者がいないことを示す書類と、同居の事実を示す書類を添付して、年金関係の手続を行うことになります。
また、事実婚状態にありながら別居しているような場合には、たとえば遺族年金や加給年金では「事実婚関係及び生計同一関係に関する申立書」という書式があって、これに記入のうえ第三者による証明を書いてもらう必要があります。
<会社の対応>
さらに事実婚状態にあって、勤め人である内縁の夫が、内縁の妻を扶養している場合には、会社を通じて国民年金の第3号被保険者とすることができ、保険料の免除を受けることもできるのですが、こうしたことを知らないために、手続できずにいるということもあります。
また、知ってはいても、遠慮して会社に申し出ないということもあります。
将来の老齢年金の受給額を考えると、会社としては、社内広報を十分に行い、役職者を中心に教育し、相談窓口を明確にするなどして、気楽に申し出ができるようにしておきたいところです。
社会保険労務士 柳田 恵一